海外で料理の修業をするには?修業の実態や現実

海外で料理の修業をするには、事前に日常会話レベルの語学力を身に付けたり、各国によって違う就労ビザの条件を満たしたりすることが必要です。海外での料理人修業の現実を、実際に海外で修業をしてきた方の経験談を交えて紹介します。

料理人・調理師 2017/11/21

Sincere(シンシア) オーナーシェフ 石井真介さん

服部栄養専門学校を卒業後、最初は四ツ谷の「オテル・ド・ミクニ」、その後は南青山の「ラ・ブランシュ」で修業をした石井さん。27歳の時にフランスへと渡り、約1年半の間にアキテーヌ地方の「ロジェ・ド・ローベルガード」、アルザス地方の「ル・クロコディール」といった星付きのレストランで働いたそうです。その後日本に帰国してからは神泉にあったフレンチレストラン「バカール」を経て、2016年4月に現在のSincere(シンシア)」をオープンされました。

料理人になろうと思ったきっかけ

きっかけは母親の影響がすごく強いと思います。母親は美容師の仕事をしていたのでいつも忙しかったと思いますが、食事に関しては常にしっかりしたものを作ってくれていました。子供の頃、特別高級なものを食べていたという訳でもありませんが、母親の手料理を通して食べる楽しみや作る楽しみというのを覚えていったと思います。

海外で料理人になった経緯

服部栄養専門学校を卒業した後、最初は三國清三シェフのもとで働かせてもらったのですが、きっかけを作ってくれたのは専門学校時代の講師の先生でした。まずは厳しいところで働いてみた方がいいと言われ、初めて三國シェフの料理を食べに行った際、世の中にはこんなに美味しいものがあるのか!と思わず感動したのを覚えています。
当時、三國シェフのもとでの修行を経て、少し天狗になっていたかもしれない僕に対して、田代シェフは誰のために料理を作るのか?何のために作るのか?といった事を教えてくれました。常にお客様を見ながら料理を変えていき、ポーションや味の濃さなどなど、本当に個々の料理を作るという事を教わり、その時に学んだ考え方が現在の自分の店でも活かされています。

その後にフランスへ行く事を自分なりに決意したのですが、この時はフランスに対する憧れというよりは、フランスの事を知らないでフレンチをやっていていいのかな?という疑問を感じていたのが理由です。行く事を決めてからはパークハイアットのレストランで働かせてもらい、そこで400万円くらいのお金を貯めてからフランスへと渡りました。

海外修業の現実と得たもの

僕がフランスに滞在したのは約1年半ですが、最初はコーディネーターの方に手配してもらって現地での就業先を決め、ビザを取得しました。滞在期間中にはストラスブールやカンヌなどでも働きましたが、これは技術だけでなく、現地の風土も勉強してみたいと思ったからです。当時はピエール・ガニェールなどの店も勢いがありましたが、日本人専用の持ち場に分かれていたり、仕込みはできるが中身をなかなか知ることができなかったりと制約も感じ、僕は別の選択肢を選びました。

この時の修業によって一人前になったというような感覚まではありませんが、もちろん刺激になったことはたくさんありました。例えばフランスの料理人たちのセンスです。天才肌の人たちが結構いて、食材によってもまるで違うものが出来上がるし、自分なりの個性を出していくというのはフランスでの修業で教わったかもしれません。センス、自分らしさ、その人らしさの部分を学んだように思います。一方で「ここは日本の方がいいな」と気付く部分もたくさんありました。現地で刺激を受けた結果として、「よし、僕は日本に戻って僕の料理をしよう」という気持ちになっていきました。

海外修業をするために必要なもの

なんとなく海外に行って修業をしていると、ただただ決められたポジションの仕事をこなすだけで終わってしまう可能性もあります。既に過去の先人たちが基盤を作ってくれているので、フランスでも「日本人は真面目に働くし、魚をおろすのが上手い」と言ってもらえることもあるのですが、現地で成長していくためにはコミュニケーション力がとても重要だと思います。それは語学ということではなく、積極性や自己主張といった部分です。

例えば僕の場合、自分でアピールして店のまかないを作らせてもらうといった経験も経て、周囲に少しずつ認めてもらったりしていました。日本人は自己主張が苦手だと思いますが、海外に出るのであれば積極的な自己主張やアピールというのは必要だと思います。もちろん言葉の部分も勉強して行った方がいいとは思いますが、わからなくても彼らはきちんと教えてくれます。彼らは言葉の問題よりも、意識が高く、自分からガンガン来るくらいの料理人の方が好きだと思います。

これから海外修業をする方へのアドバイス

僕は今現在のフランスの状況に詳しいわけではありませんが、既に今はフランスに評価されることが世界で評価されることに直結する時代ではないかもしれません。大事なのはもっと根幹の部分であり、海外でも日本でも飲食店を経営する上で重要なポイントは同じだと考えています。今の時代、「俺の料理を食べてみろ!」というような上からの目線では難しいでしょうし、上も下もなく、お客様をもてなすという気持ちが本当に大切だと思います。

最終的にどこを目指すかというのは自分自身で決めることですが、仮に海外で評価されるような店を作りたいのであれば、それなりにやることも決まってくるでしょう。僕の場合は食通と呼ばれる方だけでなく、身近な一般の方にもフレンチを楽しんでもらいたい、そして少しでも日本の中で食を楽しむ文化というものを根付かせたいと思っています。何かに強く憧れて夢中になる、そして1つの目標を持ち、それに対して全力で向かっていくということがとても大切だと思います。

さいごに
料理人の海外修業は、就労先の飲食店を見つけることと、就労ビザを取得することが課題になります。また、修業を通じて成長するためには、語学力以上に積極的に自己主張をするなどのコミュニケーション力が重要です。実際に夢を実現している人もいますので、目標を設定し下調べや準備を進めて、海外で修業できる方法を見つけましょう。

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