30代から調理師を目指すには?

30代からでも調理師を目指すことはできます。ただし、若い世代に負けないためには、それまで社会で得た経験を活かしたり、効率的に料理の腕をあげるよう努力したりすることが重要です。ここでは、30代から調理師を目指す人のために、調理師免許を効率よく取るおすすめの方法や、経験談からアドバイスを紹介します。

料理人・調理師 2017/12/06

櫻川に入ってからの修業

最初は調理衣の着方すらわからず、店ではあれをやって、次はこれをやってとどんどん言われる状況だったので、毎日それについていく事だけで必死でした。
まずは料理の名前を全部覚えますが、日本料理は季節によっても変わりますし、各料理の様子、最終型を覚えていく事に追われました。また、どの料理にはどの器を使うといった部分も重要なので、美濃焼きや織部焼など、器に関する事もひたすら記憶していきました。そしてもう1つが盛り付けです。常にご主人の手を見ながら、同じように盛り付けていく事を覚えていきました。どうしてこれは上にのっているのか、どうしてここに並んでないのかと言われる事ばかりで、とても繊細で細かく、想像以上に厳しかったです。
また、料理や材料の事を覚えた後は、グラムの感覚を覚えるというのがとても難しくてきつかったです。食材を切る時も同じ大きさ、同じ重さでなければいけないので、これを全て身体で覚えていくという作業が大変でした。夜中に眠い目をこすりながら何度も人参を切り、うまく切れているかを繰り返しチェックするような日々もありました。
他にも包丁を触る前の段階では、出汁をとるための訓練もしていました。見た目の昆布の大きさ、鰹の量、その日の天気、水の温かさなども勘案し、なんとかポイントに近づけるように努力していました。

一人前の料理人になれたと感じたとき

具体的にいつから一人前になったというような感覚はありませんが、意識しないでも魚がおろせるようになっていたり、料理の盛り付けで指摘を受ける事が少なくなったのは10年目くらいからかもしれません。ご主人が今何をしたいか?というのをキャッチし、次にやっておかなければいけない事、起こるかもしれない事が段々と予測できるようになりました。今で15年目ではありますが、本当にあっという間でした。

修行を経験していく中で身についた事

身についたもので大きいのは「忍耐」だと感じます。もちろん技術的な面で身につくこともたくさんあるのですが、それらはメンタル面があってこそだったのかもしれません。私はどちらかと言うと負けず嫌いな性格で、最後まできっちりやらないと気が済まない性格だと思います。でも、スタートラインが人よりも遅れていたので、とにかく逃げずについていく、プライドなども関係なく、遅れを取り返していく事に必死でした。

30代で調理師(料理人)を目指すことの現実とアドバイス

30代で料理人になり、独立を目指すというのは正直大変なことだと思います。まずは本当に30代から料理人になりたいのかどうか、何度も真剣に考えた方がいいです。私自身も料理の世界に入るのが遅かったので、「何のために大学に行ったの?」と親にも言われました。かと言って他の逃げ道もなかったため、ひたすら目の前のことをやるしかありませんでした。もし30代でこれから料理人を目指すとしたら、自分自身で足りない部分を補っていくという気概が必要だと思います。

また、30代で料理の世界に入るのであれば、自分自身のプライドに囚われないというのも重要だと思います。目指す時点で他の人よりマイナスからのスタートなので、過去の別の仕事で得たプライドなどをそのまま持ち込んでいては目の前の山を越えていくことはできません。特に日本料理は覚えなければいけないことがたくさんありますし、包丁を使う仕事だけでなく、色の合わせ方や感覚、季節感なども身につけていかないといけません。櫻川では歌舞伎を見に行くことでそれらを学んだり、華や茶の世界からそれらを学んだりもしています。日本料理は基本が大切なので、そういった面も大切な修行になります。

厳しいことばかりを言いましたが、料理人の仕事はとても夢があると思っています。やはりお客様と一緒に気持ちを共有できる、みんなが料理を見て感じる、食べて感じる喜びというものがあるんです。その媒介である料理に携わり、心のこもったおもてなしをしていく。お客様が嬉しくなれば私たちも自然と嬉しくなれる世界なんです。

さいごに
30代といえば、社会人として成長し責任のあるポストを任されることも珍しくないでしょう。その一方で夢や未練の残っていることに挑戦できるリミットも感じていませんか?
新しいチャレンジへの一歩を踏み出しにくくなる年代かもしれませんが、料理人になる夢を叶えたいのであれば、30代からでも遅くはありません。
調理師免許を取得する際には、実務経験を積みながら取得権利を得られる方法を選ぶなど、これからその夢を実現するためにどのようなステップが必要かつ最短か、しっかりと考えて計画しましょう。

この記事のタグ

関連記事